翻訳会社に就職しても翻訳できない?~翻訳会社の仕事~

翻訳会社は、外国語学習者にとって、比較的人気のある就職先のようですが、翻訳会社が実際にどんなことをしているのか、あまり実情は知られていないかと思います。

そこで、ここでは翻訳会社の仕事について、簡単にご説明したいと思います。

翻訳する外国語はいろいろ

翻訳会社は、名前の通り「翻訳」をするのが主な仕事になります。

日本語から外国語に訳したり、外国語から日本語に訳したり、ときには外国語から違う外国語に訳したりします。

扱う外国語は、翻訳会社によって変わってきます。

もっとも多いのは、やはり英語ですが、フランス語、スペイン語、中国語、韓国語、アラビア語など、マイナー言語を扱う会社も少なくありません。

翻訳会社によっては、幅広く多言語に対応するところから、一言語だけに特化しているところまで、実にさまざまです。

翻訳するもの

翻訳会社または翻訳家は、何を翻訳しているイメージがあるでしょうか。

経験上、多くの方が、映画や本などの「文芸翻訳」または「映像翻訳」を想像されていると思います。

しかし、ほとんどの翻訳会社は、こういったカルチャーよりも、産業やビジネスに関連するものをメインに翻訳するのが一般的です。

例えば、クライアントがメーカーの場合、製品の取扱説明書やパンフレット、広告などの顧客が目を通すものの他にも、製造に関する仕様書やマニュアル、試験データ、R&D資料、品質・環境管理システムの資料など、もっと根源的なところでは契約書や特許資料など、企業が事業活動を営む過程で発生するさまざまな文書を翻訳します。

ひょっとしたら地味に感じてしまうかもしれませんね。

翻訳会社は代理店であることが多い

翻訳会社は、クライアントから請け負った翻訳の仕事を、必ずしも自社ですべて処理しているというわけではありません。

一般的に、社内に専属の翻訳者を置くと、人件費の負担が大きくなってしまいます。

そのため、翻訳会社の多くは、外部の翻訳者(フリーランスなど)に翻訳を依頼します。

そのため、翻訳会社は性質的には「代理店」(agency)となることが多いです。

翻訳会社によっては、スタッフ自らが翻訳して、外注を控える会社もありますが、これは小規模な翻訳会社に多いと思います。スタッフが、庶務と翻訳を兼務するようなスタイルですね。

特に会社が大きければ大きいほど、翻訳案件をシステマティックに処理する必要があるので、翻訳作業は外注する傾向にあると思います。

訳文の納品までの流れ

クライアントから翻訳の依頼を受けたら、「翻訳コーディネーター」が納品までのプロセスを管理します。

一般的な流れは、下記のようになります。

 

翻訳受注 → 翻訳外注 → 訳文のチェック(校正・校閲・プルーフリーディング・ネイティブチェック)→ リライト → 納品 

 

※ネイティブチェックは、ノンネイティブの翻訳者による翻訳文が、自然であるかどうかをチェックする過程です。そもそもネイティブが翻訳している場合は、原稿言語のネイティブがチェックするのが一般的です。

 

プロセスは翻訳会社によって若干異なりますが、「翻訳してチェックして調整して納品」というおおまかな流れは共通だと思います。

なお、よくある「格安翻訳」というのは、チェックや調整などの後処理を省いたものであることが多いようで、品質的にはちょっとこわいですね。

翻訳以外のサービスも提供している

最近では、翻訳会社が翻訳以外のサービスを提供するケースも増えてきました。

まずは「通訳」。

通訳は翻訳とセットのようなものですが、通訳は「通訳者派遣」なので、サービスの提供方法が根本的に異なります。

同様に、語学教師、ナレーター、アクターなどの派遣サービスを提供する翻訳会社もあります。

その他、ウェブサイトや印刷物の多言語制作(DTP)など、翻訳に大きな付加価値をつけたサービスもよく提供されています。

翻訳会社に就職しても翻訳できないかも

このように、翻訳会社では案件管理や翻訳以外のサービスなども少なくなく、翻訳そのものができるとは限りません。

翻訳会社で働いてみたいと思う方は、「翻訳会社に勤めたからといって翻訳ができるわけではない」ということを、ご留意いただきたいと思います。

翻訳がしたくて翻訳会社に入社しても、営業やコーディネート、チェックばかりで、肝心の翻訳ができないなんてこともあります。

とにかく翻訳を仕事にしたいと思う方は、フリーランスの翻訳家を目指すと良いと思います。

ただ、翻訳会社に就職して、あらかじめ翻訳業界について知っておいて、コネクションを作っておくと、フリーランスとして独立したときに大きく役に立つと思います。