英語を「なんとなく」から「確実」に理解するには

英語は、世界中の学者がはるか昔より研究し、すでに学問的な理論(文法)が体系化しています。そのため、英語を確実に理解するためには、文法を学ぶのが正攻法となります。

しかし、英語の実像は非常に巨大で複雑であるため、文法を学んでいても、その輪郭を認識するのが難しいと思います。一般的に、文法を一つひとつ学ぶことで、輪郭がジワジワと浮き彫りになっていき、あるところまで行くと、ある時点で急にその全体像が見えるようになります。点と点がつながり、線になるといった感覚ですね。こうなれば、英語が確実に理解できるようになります。

全体像がぼやけている状態とは、つまり英語が「なんとなくわかる」という状態です。なんとなく意味がわかる、なんとなく通じる、なんとなく書ける。英語に苦手意識を持っている人は、ほとんどがこの段階にあるのだと思います。

では、英語を確実に理解するためには、結局は文法をひたすら勉強しなければいけないのでしょうか?いえ、決してそんなことはありません。文法を一つひとつ理解すれば、おのずと英語の全体像はつかめるようになると思いますが、文法の勉強は全体像の内部構成(規則性)を学ぶものであって、全体像をつかむために行うものではないからです。

ある英語の絶対的な原則を知っておくと、もっと手っ取り早く全体像を理解できるようになる、つまり英語を確実に理解できるようになります。

おそらくですが、学校や塾などの教育機関では、英語に対してこのようにアプローチしないと思います。それこそ、文法を一つひとつ習得させる手段を取ると思いますが、これでは英語が苦手に感じてしまうのも無理はありません。

英語の絶対的ルール

いきなりですが、英語をマスターするのには、間違いなく相当の努力が必要になり、個々の文法も学ぶ必要があります。また、センスやフィーリングは大切な要素だと思いますが、あくまで文法的な下地があってのものだと思います。

しかし、英語をマスターするためにも、英語の全体像を把握することで、合理的に、効率的に学習を進めることができます。そのために知っておかなければならないのが、「1つの文に動詞は1つ」という英語の原則です。

この原則を意識できるかできないかで、英語に対する理解力が大きく変わってきます。私は、この原則に気づいたときに目からうろこが落ち、苦手であった英語が途端に得意になりました。

ここでは、教科書英語ではなく、実際に英語国で使われている「リアルな英文」で見ていきましょう(例文は、すべてNATIONAL GEOGRAPHIC KiDSからの抜粋です)。


【例1】

Orcas hunt everything from fish to walruses, seals, sea lions, penguins, squid, sea turtles, sharks, and even other kinds of whales. 

【解説】

1文が長くても、動詞は1つ(hunt)。動詞がhuntだとわかれば、例え単語の意味がわからなくても「Orcasはhuntする、everything・・・を。」という構造が理解できる。

動詞を軸に英文を理解しやすくなる

文中の動詞を見つけることができるだけで、英文読解力は飛躍的に向上します。なぜなら、英語は日本語と違って、語順が厳密に決まっているからです。単語と単語の関係性を表すのを、日本語では助詞が担いますが、。英語で語順が担うからです。

簡単に言うと、英語では「動詞(V)の前が主語(S)で、動詞の後が目的語か補語か、あるいは何にもないか」です。要するに、動詞がわかることで、主述関係がクリアになるのです

動詞が見つかれば、少なくともSがVする、あるいはSがVの状態にあるということがわかります。

また、Vがわかれば、Sがわかる、つまりSである以上は名詞的成分でなければならない(名詞的に理解しなければならない)と考えることができ、Sが複雑な形をしていても理解するうえで迷子になりません(ゴールは名詞的なものとわかっているので)。

「1つの文に動詞は1つ」の原則は、英文の構造を分析する基礎となります。

どうやって動詞を見つける?

【例1】ではわかりやすい英文を取り上げましたが、多くの英文はもう少し複雑です。具体的には、「動詞っぽいもの」がたくさん出てきます。そのため、いかに「動詞っぽいもの」に騙されず、動詞を見抜けるかが英文理解のネックとなります。

動詞とは、いわゆる動詞の原形、現在形と過去形を指します。過去分詞とing形は動詞っぽく見えますが、動詞とは考えません。ざっくり言うと、過去分詞は形容詞として、ing形は形容詞や名詞として考えると理解しやすいです。

また、不定詞(前にtoを伴う動詞の原形)は動詞ではないので気をつけてください。不定詞について言えば、1つの文に動詞は1つしかあってはならない原則があるため、動詞ではないことを表すため、目印としてtoをつけていると解釈しましょう。


【例2】

Orcas' teeth, numbering about 45 and each measuring about 3 inches (7.6 centimeters) long, are shaped for ripping and tearing prey. 

 

【解説】

現在形areが動詞とわかれば、その前が主語とわかる。

主語は名詞的なものでなければいけないので、"Orcas' teeth, numbering about 45 and each measuring about 3 inches (7.6 centimeters) long,"までを名詞的に解釈すればよいということになる。

→「約45本あり、それぞれが3インチあるシャチの歯」

また、唯一の動詞areがあるので、number、measure、shape、rip、tearはそれぞれnumbering、measuring、shaped、ripping、tearingと形を変えた(動詞ではなくした)と解釈することができる。

文が2つなら動詞は2つ、文が3つなら動詞は3つ・・

今度は「文」にフォーカスしてみましょう。

実際にリアルな英語に触れてみるとよくわかりますが、ピリオドからピリオドまでが1文というわけではない場合が多いです。例えば、関係代名詞があったり、接続詞があったりする場合です。

このような場合には、「文が2つあれば動詞は2つ、文が3つなら動詞は3つ・・」と考えることになります。

接続詞の場合はわかりやすいと思います。and, so, but, because, until, thatなど、文が2つ、3つと連なりますよね。

関係代名詞も、2つの文が1つに合体すると習いましたよね。


【例3】

These animals may be newly hatched, but they already have survival skills that will allow them to thrive in their harsh, sizzling-hot habitats.

 

【解説】

まずは"These animals may be newly hatched"までが1文で、動詞はbeです。

その後ろには接続詞butがあり、もう1つの文が続きます。こちらは"they already have survival skills"が1文で、動詞はhaveです。

survival skillsは関係代名詞thatで修飾されており、that以下は1文となります。動詞はallowです(thriveの前にはtoがあるので、動詞ではなく不定詞です)。


ただし、見たところカンマがあるけど接続詞がない(と解釈すべき)場合は、「1つの文に動詞は1つ」の原則に従って、補助的な方の文にある動詞の変えなければならないと解釈します。これが、いわゆる分詞構文ですね。


【例文】

Easily recognized by its coat of reddish-orange with dark stripes, the tiger is the largest wild cat in the world.

【解説】

カンマ後に接続詞がないので、"Easiliy ~ in the world."までが1文と考える。動詞はisなので、recognizeは(動詞になることが許されず)recognizedと形を変えていると解釈できます。

また、この文のメインはあくまで動詞がある方の"the tiger is the largest wild cat in the world."であって、動詞がない"Easily recognized by its coat of reddish-orange with dark stripes,"は補足的なものと考えると理解しやすくなる。

例外について

「1つの文に動詞は1つ」は英語の絶対的な原則ですが、例外もあります。主なものは原形不定詞です。

原形不定詞とは、すでに動詞が1つあるのに、続けてもう1つ出てくる(ように見える)動詞の原形を言います。文法的に動詞ではなく、あくまで不定詞ですが、見かけ上は動詞に見えてしまうので、例外として扱ったほうがわかりやすいです。

原形不定詞をとる動詞は、使役動詞(let、make、have)と知覚動詞(see, hear)、あとはhelpです。

また、接続詞のthatは省略されることがあるため、同様に動詞が続けて現れているように見えるので注意が必要です。ただ、この原則に従えば、1文中なのに動詞が2つ以上あるとき、thatが省略されているかもしれないと推測することができます。

文法の何故?に答えられる

「1つの文に動詞は1つ」の原則を意識的に応用できるようになると、英語が容易に理解できるようになり、文法の何故?にも合理的に答えられるようになります

例えば、なぜ進行形は「be動詞+ing形」であるのかとの問いに対して、「動詞は1文中に2つあってはならないから、後ろの動詞の形を変えた」と答えることができます。「そういう決まりだから、単純に暗記しておけ」と盲目的に指導する先生は多いですね。

受け身文「be動詞+過去分詞」についても、まったく同様に答えられます。

現在完了「have+過去分詞」もそうですね、haveという動詞を伴う以上、後ろにくるのが動詞であっては都合が悪いので、形を変えたと解釈できます。

また、動詞の後ろにくる、いわゆる「to+動詞の原形」(例:want to go)、「~ing」(例:enjoy playing football)についても、すでに動詞があるのだから、動詞ではないことがわかるように形を変えていると解釈できます。

英語を勉強するうえでとても大切なのは、なぜ単語がそのような形をしているのか考えることです。こういった習慣をつけておくと、英語を即座に分析することができ、英文読解にも英作文にも、もちろん英会話にもとても役立ちます。

TOEICの文法問題が得意になる

「1つの文に動詞は1つ」の原則は、英語の内部構造(文法)を合理的に、スムーズに理解し、英語の全体像をとらえるのに威力を発揮します。特に試験対策のためというわけではありませんが、もちろん試験にも役立ちます。

個人的な感想として、この原則を理解できたら、TOEICの文法穴埋め問題が超得意になると思います。感覚的にですが、単純に原則に照らすだけで、4つある選択肢が2つに絞れることが多いです。つまり、排除する2つを選んでしまうと、1つの文に動詞が2つになってしまうということですね。TOEICで点数を稼ぎたいというだけの人にも、ぜひこの原則はおさえておいてほしいと思います。

足早に英語の原則について説明しましたが、どんな知識も知っているだけでは効果が薄いです。自分で実際に考え、検証してみることで、はじめて自分のものになります。原則を運用するのも1つのスキルであって、スキルはある程度磨く必要がある思います。

英語をマスターするのは相当な努力が必要ですが、この原則をあらかじめ押さえておけば、きっとその道のりは大幅に短くなると思います。


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